じんましん

 急に皮膚にじんましん(蕁麻疹)が出た経験をしたことはありますか?急に皮膚の一部、ひどいと全身に、赤く盛り上がった発疹(膨疹と呼びます)ができ、とにかく強いかゆみがあることが特徴です。発疹は、だんだんと薄くなって20分から3時間くらいで消えてしまいます。かきむしったりしなければ、痕は残りません。別の場所に新たにじんましんが出ることもあります。じんましんが拡大して、となりのじんましんと合体することもあります。自然に治るので、あまり心配はいりません。ただ、かゆみが強いのがつらいので、抗ヒスタミン薬を使ってなるべく早くじんましんが消えるように治療します。

じんましんは原因が分からないものが多い

 じんましんが出た時、何か体に合わないものを食べてアレルギー反応を起こしたのではないかと思う方が多いようです。確かに、食べ物や薬、あるいは虫刺されに対する即時型アレルギー反応が原因で、じんましんが出ることもあります。

 実際には、アレルギー反応とは全く無関係に、じんましんが出ることもかなり多いです。子どもでは、さまざまなウイルス感染や細菌感染が原因で、じんましんが出ます。このような原因がはっきりしないじんましん(特発性といいます)は、あまり重症にはならず、抗ヒスタミン薬がよく効きます。

刺激で誘発されるじんましんは、刺激の回避で防げる

 皮膚に対する機械的・物理的刺激(寒さ、暑さ、運動・発汗・精神的緊張による急激な体温の変化、靴下やきつい衣服による圧迫など)でもじんましんがでます。刺激で誘発されるじんましんは、薬が効きにくいので、誘因そのものを避けることが望ましいです。特に、特定の食物を食べた後に運動すると誘発されるじんましんは重症化することもあります。

抗ヒスタミン薬の内服または注射で治療

 じんましんは、自然に治ることが多いのですが、かゆみがつらいので、抗ヒスタミン薬を使って症状をやわらげ、早くじんましんが消えるようにします。

 ポララミン、アタラックス、レスタミンといった第一世代の抗ヒスタミン薬は、かゆみによく効き、じんましんの治療に使われます。症状が強ければ点滴もできます。ただ、眠気が強くなる副作用があります。子どもだと、痙攣を起こすことがあります。

 第二世代の抗ヒスタミン薬も、じんましんの治療に使われます。こちらは、副作用が少ないので、症状が強くなければ、使いやすい薬です。

 じんましんの発疹は、短時間で自然に消えます。しかし、いったん消えても、2~3週間ほど、出たり消えたりを繰り返すことがあります。症状が完全に消えてからも、薬をしばらく飲み続けたほうが良いでしょう。

Q&Aコーナー

Q:じんましんには、ぬり薬は効かないのですか?

A:じんましんは皮膚の病気なので、ぬり薬が効きそうな気がします。しかし、じんましんにはぬり薬は使いません。皮膚の構造は、外側から表皮、真皮、皮下組織に分かれています。じんましんは、真皮の部分で、ヒスタミンなどの化学伝達物質が血管や神経に作用して症状が出ます。皮膚の奥で起こっているので、ぬり薬では効果が乏しいのです。
 かゆみが強い部分を冷やすのは(寒さが原因で起きる寒冷じんましんでなければ)試してみても良いでしょう。

Q:慢性じんましんとはどのようなものですか?

A:6週間以上続くものを慢性じんましんと呼びます。原因が明確なじんましん(例えばアレルギー性のじんましんや、寒さで誘発される寒冷じんましん)で、その原因にくり返しさらされてじんましんを繰り返す場合は、慢性じんましんとは呼びません。
 治療としては、急性じんましんと同じで、抗ヒスタミン薬を使います。自己免疫疾患や、補体系の異常による遺伝性血管性浮腫、じんましん様血管炎、色素性じんましんなど、特別な病気のこともあるので、詳しい検査を行うこともあります。

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