朝、なかなか起きられない。午前中は調子が悪い。立ちくらみやめまいがする。思考力が低下してボーっとしている。子どもに、このような症状がみられた場合、起立性調節障害(起立性低血圧)という自律神経の病気かもしれません。起立性調節障害は、不登校の原因となることもあります。
残念ながら、不登校や起立性調節障害を一発で治すような方法はありませんが、医療機関としてお手伝いできることがあります。当院では、必要に応じて、(1) 睡眠検査、(2) 血液検査(貧血や甲状腺の病気がないか)、(3) 血圧を上げる薬の処方、ができます。また、お子さんのお話をうかがいつつ、不安の原因を取り除き、周囲の環境を整える方法を一緒に考えます。地域にお住まいの方で、お子さんの不登校にお困りの場合は、お気軽にご相談いただければと思います。
起立性調節障害では、立ち上がった後の血圧低下が長く続いてしまう
横になった状態から立ち上がると、血液の一部が上半身から下半身へ移動し、血圧が下がります。通常は、自律神経の働きで体が瞬時に反応して、心拍数を増やしたり、血管を収縮させたりして、血圧を元に戻します。起立性調節障害では、この調節機構がうまく働かず、立ち上がった後に血圧の低下が長く続いたり、心拍数が異常に上がった状態が続いたりします。朝、ベッドから起き上がるのが難しくなり、生活リズムの乱れや不登校につながります。
自律神経の働きは、心理的な要因にも影響を受けます。新しい環境になじめずにつらい思いをしているときや、大きな失敗をしてストレスを感じたときに、起立性調節障害が発症したり悪化したりします。また立ちくらみやめまいを感じる不安も、症状を悪化させる要因になります。
睡眠検査~当院でできること(1)
朝、なかなか起きられないために、生活リズムが乱れてくると、遅寝になって来ます。不登校で、日中の活動量が減れば、体が疲れないので眠気を感じにくくなり、ますます遅寝が進行します。睡眠の質も低下しますので、日中も集中できない、イライラするようになり、成績が低下したり、暴力的になって人間関係に問題が生じ、悪循環となります。
当院では、アクチグラフを用いた睡眠検査を導入しています。腕時計型の機器を2日間装着して過ごすだけで、睡眠の量と質を客観的に評価することができます。不登校や起立性調節障害のお子さんは、多かれ少なかれ睡眠に問題を抱えていますので、是非、睡眠検査を受けて、生活のリズムを取り戻すためのヒントをみつけましょう。
大久保駅前・林クリニックでは、小学校高学年~高校生を対象に、睡眠検査を行っています。完全予約制で、LINEから予約を受け付けています。
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血液検査~当院でできること(2)
不登校や起立性調節障害の原因として、治療可能な病気が隠れていないかどうかは、絶対に見逃してはいけません。貧血や甲状腺機能異常などはその代表です。当院では、問診や診察から、必要と判断した場合には、血液検査を行うようにしています。
頻度は少ないものの、不整脈などの心臓の病気の可能性も念頭に置いて診察します。院長は、長年、子どもの心臓病を専門としてきました。必要に応じて、心電図検査、ホルター心電図検査、心エコー検査を行うことができます。
血圧を上げる薬の処方~当院でできること(3)
起立性調節障害でよく使われるのは、ミドドリンという飲み薬です。これはα1受容体刺激薬といって、血管を収縮させて血圧を上げる効果があります。子どもでは、1回1錠を1日2回(起床時と夕方)飲んでもらいます。薬が効いてくるのには2週間くらいかかります。
また、日常生活では、立ち上がるときはゆっくりと、また長時間立っているときは時々足踏みをするなどして、血圧が下がらないようにしましょう。水分や塩分を多めに摂ることも有効です。できれば、昼間は横に寝転がらないように心がけましょう。
心理的なサポートも大切
不登校や起立性調節障害の症状は、心理的な要因にも大きく影響されます。治療にあたっては、飲み薬だけでなく、不安の原因を取り除き、周囲の環境を整えることも大切です。
まず、不登校や起立性調節障害が、子ども自身がなまけているせいで起きているのではないことを理解してもらいます。学校生活や勉強、習いごとなど、全てをいきなり完璧にこなそうとはせず、できることから少しずつ始めていけるように、一緒に考えます。もっとも優先すべきは、早寝、早起き、そして1日三食きっちり食べること。体の健康を維持することが、こころの健康を取り戻すベースになります。
子どもの睡眠検査のご案内
当院では、小学校高学年~高校生を対象に、自宅でできる睡眠検査をが受けられます。