弱視ー乳幼児健診でチェックする目の異常とは?

 生後まもなくの赤ちゃんの視力は0.01くらいで、徐々に視覚が発達していきます。正常では、1歳で0.1、3歳で0.6~0.7、4歳で1.0の視力を獲得します(小児内科2019;51(10)1426-1429)。視覚の発達には、鮮明な像を両目で同時に見続けることが必須です。斜視や屈折異常があると、視覚の正常な発達が妨げられ、弱視になってしまいます。乳幼児健診でチェックする項目の一つに、弱視があります。

 大久保駅前・林クリニックでは、乳児健診(6~7ヶ月健診、9~10ヶ月健診)の際に、「スポットビジョンスクリーナー」という機械を使って、弱視になる可能性がないかどうかチェックしています。10秒程度、カメラのような機械を見つめてもらえば検査が完了します。万が一、異常が見つかった場合は、その程度によって、2~3ヶ月後に再検査したり、眼科へ紹介するなどの対応をいたします。

大久保駅前・林クリニック乳幼児健診のご案内

弱視は早期発見が治療の鍵!

 斜視や屈折異常を、適切な時期に発見して、治療をすれば、弱視は防げます。3歳児健診は、弱視の子どもを見つけるのに最も重要なタイミングです。日本全国で、3歳児健診の時には、「C」の切れ目の向きを答えさせるおなじみの視力検査が行われます。最近では「スポットビジョンスクリーナー」という斜視や屈折異常を簡便に測定できる機械を使って検査を行う自治体も増えてきました。

 大久保駅前・林クリニックでは、「スポットビジョンスクリーナー」を用いた斜視・屈折異常の検査を、6~7ヶ月健診、9~10ヶ月健診時に行っています。3歳児健診は、そこで弱視を見逃すと、治療が手遅れになるという意味で「最後の砦」と言えます。その前の乳児健診の段階で、異常を拾い上げ、フォローアップすることで、弱視の適切なタイミングでの治療につなげられます。

斜視のチェックは乳児健診の必須項目

 斜視とは、ものを見るときに、片方の目の視線がまっすぐものを見ているのに対して、もう一方の目が別の方向を向いてしまう病気です。視覚が発達する6歳までの間に、斜視があると、両目で正しく像を捉えられないため、弱視になってしまいます。乳児健診では、必ず斜視がないかをチェックします。ペンライトで光を見てもらい、瞳孔の中心に光が反射していれば、問題なしと言えます。「スポットビジョンスクリーナー」を使えば、より正確に斜視を見つけることができます。ただし、斜視には様々な種類があり、心配のいらないものもあります。医師の説明を良く聞いて下さい。

屈折異常は、外から診察しただけでは分からない

 屈折異常とは、いわゆる「近視」や「遠視」のことです。小中学生がテレビの見すぎや勉強のしすぎ(?)で近視になった場合は、それ以前には正常の視力があったので、視覚がいったん完成しており、弱視にはなりません。メガネをかければ見えるようになります。生まれつきの目の構造異常によって、極端な近視や遠視があると、常にぼやけた像が脳に届きますので、視覚が正常に発達せず、弱視になってしまいます。

 屈折異常を診察だけで見つけるのは困難です。眼科に備えられた専門の機械がないと調べられなかったのですが、「スポットビジョンスクリーナー」があれば、乳児健診のタイミングで簡単にチェックできます。ぜひ大久保駅前・林クリニックで乳児健診を受けて下さい。

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Q&Aコーナー

Q:「屈折」と「調節」とは何ですか?

A:視覚は、目に入った光を目の奥の網膜で感知し、その信号が脳に伝わって、映像として認識される仕組みになっています。鮮明な映像として認識するには、目に入った光が網膜で焦点を結ぶ必要があります。目には、角膜と水晶体という2つのレンズがあり、これらのレンズで目に入った光を曲げて(屈折といいます)、ちょうど網膜で焦点を結ぶようになっています。しかし、レンズの屈折力と、網膜までの距離のバランスが悪いと、網膜の手前で焦点を結んだり(近視)、網膜よりも奥で焦点を結ぶ(遠視)ことがあり、ものがぼやけてみえてしまいます。
 水晶体は、それを取り囲んでいる毛様体という筋肉の働きによって、厚さが変化します。これを「調節」と言います。例えば、近くを見るときには毛様体が縮んで、水晶体が厚くなり、焦点が合うように調節されます。
 私たちの目に備わっているレンズ機能は、「屈折」と「調節」によって、鮮明な映像を脳に届けているのです。

目の構造:目に入った光は、角膜と水晶体という2つのレンズで曲げられて、網膜で焦点を結ぶ

Q:スポットビジョンスクリーナーでは「視力」は測れないのですか?

A:スポットビジョンスクリーナーで調べる「屈折力」は、一般の方にもなじみの深い「視力」とは異なる指標です。
 「視力」は、「屈折力」だけでなく、網膜で光を感じる細胞の数や、水晶体の厚さを変える調節力の影響も受けます。「屈折力」は、視力を決める一つの重要な要素だと考えると分かりやすいでしょう。

Q:スポットビジョンスクリーナーで、本当は異常がないのに、異常と判定されてしまう心配はないのですか?

A:検査には常に、偽陽性(本当は正常なのに異常と判定)あるいは偽陰性(本当は異常なのに正常と判定)の問題があります。特に、健診で行う「ふるい分け検査」では、少し甘めに異常と判定して、精密検査に回すようになっています。これは見落としを防ぐためには理にかなっています。一方で本当は正常なのに異常と判定されて、本来は必要のない精密検査を要したり、親御さんに心理的な負担を与えたりする問題があります。
 北海道の江別市で3歳児健診にスポットビジョンスクリーナーを導入したところ、全受検者606名中、75名(12.4%)が要精密検査と判定され、そのうち22名が実際に治療を要すると診断されました(日児誌2024;128:468)。つまりスポットビジョンスクリーナーで要精密検査と判定されても、7割程度の方は実際には異常がなかったことになります。
 大久保駅前・林クリニックでは、スポットビジョンスクリーナーによる検査を行うにあたり、「正常」「異常」と単純に振り分けるのではなく、異常の内容・程度を踏まえて、適切に対応するようにいたします。検査結果によっては、すぐに専門の小児眼科に紹介するのではなく、間隔を置いて当院での再検査をおすすめすることもあります。

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