学校での検尿で異常を指摘されたら

 小学校に入ると、毎年、検尿があります。検尿では、タンパク(蛋白)尿や血尿がないかを調べます。糸球体腎炎という病気の早期発見が主な目的です。

 学校に通う子ども全員を対象に、症状の有無に関わらず毎年検尿を行うので、病気でない子どもも精密検査に回ってしまうことがあります。不安になってしまうかと思いますが、タンパク尿や血尿があっても、特に心配いらないことも多いです。医療機関でしっかりと検査を受け、疑問があれば医師に相談しましょう。

タンパク尿は持続するかどうかがポイント

 腎臓で尿を作るときには、大切な栄養素であるタンパク質は尿には出てこないようになっています。ただ、高熱が出た時や、激しい運動の後、あるいは脱水気味の時などには、一時的にタンパク尿が見られることがあります。再検査してタンパク尿がみられなければ、心配いりません。

 また、起立性タンパク尿といって、立った姿勢をとり続けていると、タンパク尿がみられることがあります。朝、起床した直後にとった尿で検査をしてタンパク尿がなければ、起立性タンパク尿と考えます。これも心配無用で、治療も不要です。

タンパク尿が持続する場合は、尿中タンパク質の量をチェック

 検尿でとった尿の中の、タンパク質/クレアチニン比を計測することで、どのくらいのタンパク質が尿に出ているかが分かります。尿中タンパク質/クレアチニン比の正常値は0.2未満です(6ヶ月~2歳は0.5未満)。

 尿中タンパク質/クレアチニン比が1.0を超える場合、糸球体腎炎の可能性が高いと言えます。専門病院での治療が必要です。尿中タンパク質/クレアチニン比が0.2~1.0ですと、急は要しませんが、他の症状や検査値の異常があるかどうかで、どこまで精密検査をするのか変わってきます。

血尿は、他の異常も合併しているかどうかがポイント

 血尿には、目で見て明らかに尿が赤い「肉眼的血尿」と、見た目は赤くないけれども検査で血尿の反応が出る「尿潜血」があります。

 血尿が疑われる場合、まずは尿沈渣という検査をします。これは遠心分離した尿を顕微鏡で見て、赤血球がどのくらいあるかを調べます。顕微鏡で一度に見える範囲に、赤血球が5個未満なら心配いりません。それ以上ある場合は、さらなる検査に進みます。

 血尿の原因としては、尿路感染や糸球体腎炎、腎尿路奇形・腫瘍、尿路結石などが多いです。尿路感染であれば、発熱を伴い、尿培養で尿から細菌が検出されます。糸球体腎炎であれば、タンパク尿もみられることが多く、また高血圧や浮腫などもみられます。血液検査で分かる血小板数や腎機能、補体価なども参考になります。1ヶ月前くらいに溶連菌感染を起こしていれば、溶連菌感染後急性糸球体腎炎の可能性が高いです。腎尿路奇形・腫瘍を調べるには超音波検査が有用です。尿路結石が原因なら、排尿時に痛みがあります。このように、病気が原因で血尿が起きている場合、血尿以外の症状や検査値の異常がみられるはずです。

 血尿以外の異常がみられないときは、治療が必要な病気である可能性は低いです。この場合、血尿が悪化してこないか、定期的に検尿を続けて様子を見ることになります。

Q&Aコーナー

Q:尿潜血が陽性にもかかわらず、血尿ではないことがあるのですか?

A:検尿では、まず「試験紙法」といって、血液成分と反応すると色が変わる試験紙を使って検査します。これは赤血球そのものをみているわけではなく、ヘモグロビンやミオグロビンという血液中の成分を検出しています。溶血性貧血(赤血球が破壊されて貧血になる病気)や筋肉の損傷(ミオグロビンは筋肉にたくさんあります)により、尿中にヘモグロビンやミオグロビンが出てくると、血尿でなくても尿潜血が陽性になります。

Q:赤ちゃんのおむつにピンク色のシミが付くのですが、血尿なのでしょうか?

A:これは尿中に含まれている尿酸塩が結晶となったもので、血尿ではありません。特に生後6ヶ月までの赤ちゃんに多くみられます。尿酸塩の結晶の色である薄ピンクのシミがおむつにつきます。時間がたつと暗いオレンジ色にかわります。汗をたくさんかいて、少し脱水気味の時には、尿が濃くなり、尿酸塩の結晶が出やすくなります。病気ではないので、心配いりませんし、治療も不要です。

Q:パンツに血が付くのですが、血尿なのでしょうか?

A:尿道出血の可能性が高いです。尿道とは、膀胱よりも先の、尿の最後の通り道です。排尿中に出ている尿は赤くないのに、排尿の最後にちょっとだけ血が混じります。パンツに血が付くこともあります。男の子に多くみられます。排尿時に痛みやむずむず感をおぼえることもあります。超音波検査では腎臓や膀胱に異常はありません。基本的には心配のいらないものですが、水分を多めにとって薄い尿をたくさん出した方が、排尿時の痛みは軽くなります。出血が続くようなら、尿道が狭くなる後遺症を起こさないか、少し詳しい検査をおすすめすることもあります。

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