痛風

 ビールをたくさん飲む人が、痛風になりやすいと聞いたことがある方は多いでしょう。ビールや赤身の肉にはプリン体という物質が豊富に含まれています。プリン体は、分解されて最終的に尿酸になります。尿酸は尿や便として体の外へ出て行きますが、血中の尿酸値が高いと、少しずつ尿酸の結晶が足の関節などにたまってしまいます。尿酸の結晶は体にとっては異物ですから、それを排除しようとして免疫反応が起こり、激しい痛みを伴う痛風発作を引き起こすのです。

痛風発作は、まず鎮痛薬で治療する

 痛風発作では、足の親趾の付け根に激しい痛み(刃物で刺されるような痛みとも表現されます)が起こります。足首が痛むこともあります。NSAIDsという痛み止めを飲んでもらうことで、1週間くらいで症状はおさまります。症状がおさまらなかったり、腎機能が悪くてNSAIDsが使えない場合などは、ステロイド(プレドニゾロン)を使って治療します。

尿酸値を下げる薬で、再発を防ぐ

 痛風発作がおさまったら、再発を防ぐための治療に移ります。痛風の原因は、尿酸値が高いことです。尿酸が作られるのを抑える効果のある尿酸生成阻害薬(フェブキソスタットやアロプリノール)を飲んでもらいます。さらに、発作が起きてからしばらくの間、プリン体の多い飲食物を避けることも必要です。具体的にはアルコールや糖分を含んだ清涼飲料水は控えましょう。

 治療の目標は、尿酸値を6 mg/dL以下にすることです。尿酸生成阻害薬を少ない量で始め、尿酸値が目標値に下がるまで、段階的に増やしていきます。尿酸生成阻害薬は非常に有効な薬で、この薬1種類だけで、多くの方は尿酸値が十分に下がります。

 アロプリノールは元祖・尿酸生成阻害薬です。1日に2~3回に分けて飲みます。フェブキソスタットは、1日に1回でよいので、患者さんの負担が減ります。ただ薬価は高めです。

痛風・高尿酸血症は生活習慣病と合併することが多い

 痛風の患者さんは高血圧、肥満、糖尿病、心血管疾患高脂血症といった生活習慣病と合併することが多いです。これは、プリン体をたくさん摂取する食生活が生活習慣病につながりやすいこと、肥満やメタボリックシンドロームでインスリン抵抗性(血糖を下げるために膵臓がインスリンをたくさん分泌しなくてはならない状態)があると尿からの尿酸の排出が減ること、利尿薬(フロセミドなど)が尿酸の排出を抑えること、などが原因です。生活習慣病の管理もあわせておこないましょう。

Q&Aコーナー

Q:激しい関節痛があるときに、血液検査で尿酸値が正常範囲内なら、痛風ではないのでしょうか?

A:痛風発作がピークに達しているときは、腎臓が頑張って尿酸をたくさん排出してくれるので、尿酸値が一見正常のことがあります。症状としては痛風発作と考えられるのに、尿酸値が高くない場合は、2~4週間後にもう一度検査することがすすめられます。

Q:尿酸値が正常化したら、尿酸生成阻害薬はやめてもよいのですか?

A:薬を飲んで、尿酸値が目標の6 mg/dL以下に下がった場合、どのくらい薬を飲み続けるべきかは、実は結論が出ていません。ただ、生活習慣病を合併している患者さんでは、基本的には薬を続けた方が良いようです。血液検査で尿酸値の定期的なチェックもおこないます。

Q:偽痛風とは何ですか?

A:尿酸の結晶が関節に蓄積して起きるのが痛風です。ピロリン酸カルシウム結晶が関節に蓄積すると、痛風と似た症状がみられ、これを偽痛風とよびます。関節が痛むのは同じですが、痛風は足の関節に起きるのに対して、偽痛風は手首や膝に痛みが出ることが多いです。また、痛風で痛くなるのは一カ所の関節だけのことが一般的ですが、偽痛風は複数の関節で症状が出ることがあります。発作が起きているときの治療として、鎮痛薬(NSADIs)やステロイドを使う点は同じです。尿酸生成阻害薬で予防ができる痛風と異なり、偽痛風そのものを抑える薬はありません。

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