おとなの食物アレルギー

おとなの食物アレルギーの原因は、小麦、魚類、甲殻類、果物が多いです。

今まで食べてもアレルギーを起こさなかったのに、ある時を境に、食物アレルギーを起こしてしまうのですから、よく考えると不思議です。しかも、特定の条件がそろった時だけアレルギーを起こしたり、食べてから発症するまでに時間がかかったりという特徴があります。原因を突き止めるのが難しいことも多いので、食物アレルギーでお困りの方は、ぜひ医師に相談してください。

ここでは、おとなの食物アレルギーの代表的なメカニズムを3つ解説します。

おとなの食物アレルギーは、運動や疲労などが引き金になる

おとなの食物アレルギーは、原因となる食べ物を食べただけでは起きないのが特徴です。食べたタイミングで、激しい運動や疲労、飲酒、温度変化、NSAIDs(痛み止めの薬)などが同時に加わることで、アレルギー反応が引き起こされるのです。

有名なのは小麦やエビ、カニを食べてから2時間以内に運動をすると、重いアレルギー反応が起きる「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という病気です。これは、運動によって消化が悪くなることが関係しています。未消化の食物は、分子が大きく、アレルギー反応を起こしやすいのです。十分に消化されない状態で食べ物が吸収されてしまうことが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因です。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、原因となる食べ物の摂取と、誘因になる運動のタイミングが重ならなければ、起きません。

花粉症が果物アレルギーを起こすこともある

植物の花粉の中には、果物に含まれる成分とよく似た構造を持つものがあります。ある種の花粉に対してアレルギーを持つようになった場合、果物に対してもアレルギーを起こすようになり(交差反応)、その果物を食べると口の中がかゆくなったり、赤くなったりします。これを、「口腔アレルギー症候群」あるいは「花粉-食物アレルギー症候群」といいます。

例えば、カバノキ科の花粉に対して花粉症になると、リンゴやモモなどのバラ科の果物にアレルギーが出ることがあります。他にもイネ科の花粉とメロンやスイカ、ヨモギの花粉とセロリやニンジンといった交差反応も知られています。

花粉-食物アレルギー症候群は、新鮮な果物でアレルギーが起きやすく、ジャムなどの加工品ではアレルギーは起こしません。

皮膚の小さな傷から抗原に感作されて食物アレルギーになる

皮膚の微細な傷から、食物の成分が侵入を繰り返すと、免疫反応を起こして特異的IgE抗体が作られるようになります(経皮感作といいます)。その結果、今までは問題なかったのに、新たに食物アレルギーを発症してしまうことがあります。

例えば、自然由来の赤色色素(コチニール)が含まれる化粧品を長年使っているうちに経皮感作され、この色素を含む食べ物(マカロン等の菓子、ハムや練り物などの加工食品)に対して食物アレルギーを発症します。素手で魚を握る寿司職人が魚アレルギーになったり、美容法としてきゅうりパックをしてきゅうりアレルギーになったりといった例もあります。もともと乾燥肌で皮膚が荒れていたり、水仕事で手荒れがひどかったりすると、経皮感作を起こしやすいです。

Q&Aコーナー

Q:食物依存性運動誘発アナフィナキシーは、どのように診断するのですか?

A:このタイプの食物アレルギーは、原因となる食べ物の摂取だけでは起きませんので、診断が難しいことがあります。患者さんに、アレルギーが起きる前の食事や生活のようすをよく思い出してもらいます。小麦が原因になることが多く、小麦に含まれるω-5グリアジンに対する特異的IgE抗体を血液検査で調べることも有用です。果物で起きる食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因として、GRPという成分があります。GRPは、モモや梅、サクランボなどに含まれます。最終的には、原因となる食べ物を食べたうえで運動してもらい、アレルギーが起きることを確かめる(負荷試験といいます)ことで、診断ができます。

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