子どもの耳垢(耳あか)

 耳の入口から鼓膜までの部分を外耳道といいます。耳あかは、古くなってはがれた外耳道の皮膚、外耳道で分泌される脂や汗が混じってかたまったものです。耳あかは外耳道の外側1/3の部分にでき、外耳道の奥の方には通常はたまりません。

耳あかの除去が必要なのは、聞こえが悪かったり、痛み、耳鳴りがあるとき

 耳鏡(耳の中を見る医療器具)を使っても鼓膜が全く見えない程度まで、外耳道に耳あかが詰まっている場合は、耳垢塞栓という病気です。耳垢塞栓になると、聞こえが悪くなったり、痛みや耳鳴りといった症状が出ます。この場合は、耳あかの除去が必要です。

 耳からどろどろしたものが出てくる(いわゆる耳だれ、医学的には耳漏といいます)場合も、全てが異常というわけではありません。向き癖のある赤ちゃんだと、いつも下になった方の耳は、中が湿って、耳あかが水分を含んで耳だれのように見えることもあります。これは、寝返りをするようになれば改善してきます。

 子どもの耳あかが多くて心配な方、耳だれが気になるという方は、何かのついででも結構ですから、かかりつけの小児科で耳の中をチェックしてもらってください。症状とあわせて判断した上で、耳垢の除去が必要であれば、耳鼻科へ紹介します。

難聴の原因が、耳垢塞栓以外であることも多い

 乳幼児で耳の聞こえが悪くなると、言葉の発達にも悪影響があります。呼んでも返事をしないとか、音量を異常に大きくしてテレビを見ているといったことに、保護者や保育園の先生が気づき、耳あかがたまって聞こえが悪いのではないかと心配されることがあります。

 乳幼児は、耳あかがかなり目立つことが多いので、耳あかのせいで聞こえが悪いと考えがちです。しかし、耳鏡を使っても鼓膜が全く見えないほど耳あかで外耳道が詰まっているのでない限り、耳あかだけで難聴になることは少ないです。実際には、急性中耳炎や滲出性中耳炎も起こしていて、そのせいで、聞こえが悪くなることが多いようです。

 正確な診断をつける意味でも、耳あかを取り除いて、しっかりと鼓膜を観察しなければなりません。難聴を耳あかのせいであると安易に考えて、自己流で耳掃除して終わりにしてはいけません。

家庭での耳かきは不要

 耳あかには、外耳道を保護する役割があります。耳あかは自然に耳の入り口へと移動して外に排出されるような仕組みになっています。多少の耳あかがあるのは正常なことであり、日常的に耳かき棒で耳掃除する必要はありません。耳かき棒は、耳の中を傷つけてしまうことも多く、むしろ有害とさえ言われています。

 子どもなら、1か月に1回程度、耳の入り口近くまで移動してきた耳あかを、清潔な綿棒で取り除くだけでじゅうぶんです。耳の奥の見えないところまで綿棒をつっこんではいけません。耳あかを奥に押し込んでしまって、かえって耳あかが詰まりやすくなります。

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