花粉症

 花粉症は、春先にスギ花粉が飛散することによって起こるアレルギー病です。スギ花粉症だけでなく、ヒノキ(春)や、ブタクサ(秋)などの花粉も花粉症の原因になります。

 鼻や目に付着した花粉を取り除こうとして、体がアレルギー反応を起こします。鼻の症状としては、鼻水、くしゃみ、鼻づまりがみられます。目の症状としては、目のかゆみ、充血、流涙があります。さらに、鼻水や鼻づまりで十分な睡眠がとれず、日中に眠くなったり、だるさを感じたりするようになります。早い段階から、適切な薬を使うことで、つらい症状をかなり改善することができます。

鼻水、くしゃみ、鼻づまりには、ステロイド薬の鼻噴霧

 アレルギー性鼻炎の症状には、鼻噴霧用のステロイド薬が最も効果的です。効果があらわれるのが素早いのが、この薬の良いところです。さらに鼻の粘膜への局所投与ですから、正しく使えば、ステロイド薬の全身への影響もありません。

 花粉が飛散しているあいだ、毎日わすれずに薬を使いましょう。症状が出たときだけ鼻に噴霧するという使い方は正しくありません。毎日噴霧することで、アレルギー反応を抑え、鼻の粘膜を良い状態に保つことができます。

目の症状には、アレルギーを抑える目薬

 目のかゆみ、充血、流涙には、抗ヒスタミン薬の目薬を使います。重症の場合は、ステロイドの目薬を使うこともありますが、白内障や緑内障の副作用があるので、なるべく短期間の使用にとどめます。

症状が強い人は、アレルギーを抑える飲み薬も併用する

 花粉症の症状が重い人では、ステロイド薬の鼻噴霧といっしょに、アレルギーを抑える飲み薬も使うのがよいです。アレルギーを抑える飲み薬の代表的なものに、抗ヒスタミン薬と、ロイコトリエン受容体拮抗薬があります。鼻水やくしゃみには抗ヒスタミン薬が、鼻づまりにはロイコトリエン受容体拮抗薬が適しています。

 鼻づまりが特に強い場合は、抗ヒスタミン薬と血管収縮剤を配合した飲み薬があり、12歳以上に使用できます。

 呼吸で吸った空気の通り道として、鼻と気管、気管支はつながっているので、アレルギー性鼻炎によって気管支喘息が悪化したり、その逆もあります。気管支喘息の持病がある方は、喘息の治療も確実におこなってください。

Q&Aコーナー

Q:鼻噴霧用のステロイド薬にはどんなものがありますか?

A:鼻噴霧用のステロイド薬はたくさんの種類が発売されています。それぞれに特徴があるので、患者さんの希望をききながら、どの薬を使うか決めます。
 大きく分けて、液体を霧状に噴霧するタイプと、粉末(パウダー)を噴霧するタイプがあります。
 液体を霧状に噴霧するタイプは、薬が鼻の中に届いたという実感が得やすいです。欠点は、鼻の奥に薬が垂れる不快感があることです。
 粉末(パウダー)を噴霧するタイプの利点は鼻の奥に薬が垂れ込まないことです。鼻づまりの強い患者さんには、パウダーの方が適しています。患者さんによっては、薬が鼻に吹き付けられたという実感が得にくい点で不安を感じる方もいます。

Q:アレルギーの血液検査は、花粉症の診断に必要ですか?

A:花粉症の診断には、アレルギーの血液検査は必須ではありません。花粉症が非常にありふれた病気(東京都の成人で45%の有病率、子どもでも40%が花粉症にかかっている)ことを考えると、春先にくしゃみ、鼻水、鼻づまりが続く場合は、花粉症と考えて、治療を行うのがよいでしょう。
 RAST法と呼ばれるアレルギーの血液検査では、スギ花粉に反応する特異的IgE抗体の量が測定できます。これによりアレルギーの原因がスギ花粉であると特定できます。少量のスギ花粉をわざと投与してアレルギー反応を麻痺させてしまう治療法(アレルゲン免疫療法)を行う上ではこの検査が必要です。
 なお、スギ花粉の特異的IgE抗体が検出されたとしても、実際に花粉症の症状が出るのは30%弱にすぎません。

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