赤ちゃんの目やに

赤ちゃんが寝て起きたとき、たくさん目やに(眼脂)が付いていることがあります。なぜ、赤ちゃんは目やにがたくさん出るのでしょうか?赤ちゃんの目やには心配いらないのでしょうか?

赤ちゃんは、涙を鼻へ流す「鼻涙管」が詰まりやすい

私たちの目は常に少量の涙を出して、目の表面が乾かないようにして目を守っています。涙は、目の内側から鼻へつながる鼻涙管という管を通って、鼻に出て行きます。泣いたときに鼻水が出るのは、鼻涙管を通って涙が鼻に出て行くからです。

何と20%くらいの赤ちゃんは、生まれつき鼻涙管が詰まって流れにくくなっており(Eye 1991;5:596)、これを先天鼻涙管閉塞と言います。赤ちゃんの目やにがひどいのは、先天鼻涙管閉塞が原因です。生後1ヶ月以前から、ずっと涙目だったり、目やにがたまりやすいという症状が出ます。ただ、ほとんどの赤ちゃんで1歳までに鼻涙管閉塞は治ってしまいます。

鼻と目の間をマッサージして、鼻涙管にたまった目やにをきれいにしてあげよう

鼻涙管は両目の内側、鼻と目の間(この場所を内眼角といいます)にあります。目やにがひどい場合は、1日2~3回くらい、内眼角を優しくマッサージしてあげましょう。綿棒を使うと良いです。鼻涙管にたまった涙液や目やにが押し出されますので、湿らせたガーゼハンカチで拭いてあげてください。このようにして様子をみていれば、1歳くらいまでに鼻涙管閉塞は自然によくなることがほとんどです。

感染を起こした場合と、1歳になっても症状が続く場合は、治療が必要

鼻涙管閉塞で治療が必要なのは、感染を起こした時と、1歳になっても目やにの症状がよくならない場合です。鼻涙管が詰まっていると、涙液や目やにがそこにたまってしまい、細菌感染を起こしてしまうことがあります目の内側が腫れたり(押すと痛みます)、白目が赤くなったりしていると、感染の可能性がありますので、抗菌薬の目薬を使って治療します。感染を繰り返す場合は、眼科で針を使って詰まった鼻涙管を開通させる治療をしてもらうことがあります。また、1歳になっても目やにがひどい場合、鼻涙管閉塞が自然に治らなかったと考えられますので、やはり眼科で鼻涙管を開通させる治療が必要です。最近は、6ヶ月前でも早めに鼻涙管を開通させる治療をするのがよいという考え方もあるようですが、眼科の先生の間でも意見が分かれているようです。

Q&Aコーナー

Q:先天鼻涙管閉塞で、目やにが多いときと少ないときがあるのはなぜですか?

A:先天鼻涙管閉塞の赤ちゃんでは、鼻涙管が完全に詰まっていることは少なく、鼻涙管が狭くなって流れにくくなっているのです。普段の涙の量なら問題なくても、寒い時、冷たい風にあたったとき、あるいは日に当たったときなどには、涙の量が増えて、鼻涙管からあふれてしまい、目やにが付きます。あるいは鼻風邪をひいた時も、鼻の粘膜がむくんで鼻涙管の鼻側の出口がさらに狭くなって、目やにがひどくなります。

Q:目やにがひどい赤ちゃんで心配しなければいけない病気は、先天鼻涙管閉塞のほかにどんなものがありますか?

A:先天鼻涙管閉塞のほかに、目やにがひどい赤ちゃんで心配しなければいけない病気は、結膜炎と睫毛内反症(さかまつげ)、あと頻度は低いですが緑内障があります。
 結膜炎は、原因によって、アレルギー性、細菌性、ウイルス性があります。いずれも症状として結膜の充血(白目が赤くなる)がみられます。アレルギー性結膜炎ではさらに目がかゆくなります。赤ちゃんに起こることは少ないですが、治療としてはアレルギーを抑える目薬を使用します。ウイルス性結膜炎では、かゆみはなく、目やには透明なことが多いです。自然に治りますが、アデノウイルスによる角結膜炎では、発熱や喉の痛みもあり、結膜炎の症状も強く、接触することで他人に感染させるので注意が必要です。細菌性結膜炎は、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌などによって起こり、黄色くネバネバした目やにが出ます。抗菌薬の目薬を使って治療します。
 睫毛内反(さかまつげ)では、まつげが目の表面に触れてしまっています。まぶたの皮膚が余分にあってまつげが内側にたわんでしまうことが原因です。下のまつげの方が起こりやすいようです。2歳までに自然に治ることが多いのですが、目の充血が強かったり、目をこすったりしてしまうようなら、ヒアルロン酸の目薬を使って目を保護します。それでも症状が続くなら、手術が必要です。

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